こんにちは。
筆者は約15年間、ブルーベリーを100本ほど育てた経験があります。
その道のプロの先生に習ったとはいえ、全くのシロウトの筆者でも何とか良い実を実らせことができました。
ブルーベリーをうまく育てるにはコツがあります。でもこのコツはそんなに難しくはありません。
今回は、このコツをなるべく簡潔に解説していきます。
解説は、春の植え付けから夏の収穫、冬の剪定といった一年の流れに沿って語っていきましょう。
植え付け、まずは酸性の土、これが大切。(二月〜三月)
ブルーベリーの原産地は、北米のツンドラ地帯です。
その北米のツンドラ地帯とは、あの「赤毛のアン」のプリンスエドワード島近辺ですね。
この原産地の環境を実現できれば、ブルーベリーはよく育ち、よく実るのです。
植え付ける場所
ズバリ日当たりが良く、水はけの良い場所を選びます。
基本的に、この解説では、露地栽培を前提としていますが、鉢植えの場合にもこの基準を考慮してください。
ブルーベリーは春夏の成長期にとても水を欲しがりますが、同時に水捌けの良さを必要とします。
また、ブルーベリーの根っこは縦に深くと言うよりも、横に広く広がっていくので、植え付けの周囲の土もなるべく柔らかくしておくと良いです。
植え付ける穴は幅50~60センチ、深さ30~40センチ
ブルーベリーの植え付けで何よりも必須なのはピートモスです。
ビートモスとは、ツンドラ地帯に堆積した苔の塊です。今ではどこのDIYの園芸部門にも置いてあります。
このピートモスを惜しげもなく与えることが何よりも肝心です。
このビートモスがブルーベリーが最も好む酸性度の高い土壌を保障してくれるのです。
(図一)
植え付けの手順は以下の通り(樹高50~60cmの苗木を想定してます)
- 幅50~60cm、深さ30~40cmの植え付け穴を用意
- 穴の底に硫黄粉末200g~300gをまく(酸性を保持するため、なるべくまいて下さい)
- 20~30リットルの乾いたピートモスを投入する
- その上に、あらかじめ濡らしておいた上記と同量のピートモスを投入する(濡れ具合は手で握ると水が滴る程度です)
- 真ん中に穴をあけて、ブルーベリーの苗木を植え付ける(苗木の根の周りの土もそのまま落とさぬように植えます)
- 植え付けた苗の周りに、緩効性肥料200g~300g1をまく
- その上に土を2~3cmの厚さでかける(覆土)
- さらにその上に、木のチップやワラや枯葉やもみ殻などをマルチングする(10~20cm:後述)
- 最後に苗のわきに支柱を立てて倒れぬようにしましょう
以上で植え付けは完了です。
すでに水を含ませたピートモスを投入しているので、さらに水をやる必要はありません。
乾燥防止のマルチング
マルチとは、根の周りに敷く有機性の資材ですが、夏は乾燥防止や雑草除け、冬は保温にとても役立ちます。
マルチ材には、木のチップやワラや枯葉やもみ殻、木の皮等があります。
いずれも最後は土に変って良い栄養になっていきます。
図のように厚さ10~20センチを目指して敷き詰めましょう。
ビートモスを使わないとブルーベリーは育ちませんか?
はい、はっきり言って良い事は何もありません。
ビートモスを使わなくても、ブルーベリーは比較的丈夫な木なので、簡単に枯れる事はありません。
しかし、枯れないと言うだけの話です。木はよく育たず、実はなっても小さな実がなるだけです。
ブルーベリーは前述の通り、植物には珍しく酸性を好む果樹2です。
他にこの酸性を保持する方法が見つかれば別ですが、現状ではピートモスの利用が最も的確であると筆者は考えます。
ちなみにピートモスのpH値は3.5です。
夏の収穫(五月末〜九月末頃)
春になるとブルーベリーは、芽を伸ばして葉を広げ、花芽は白やピンクの可憐な花を咲かせ始めます。
その花の一輪一輪がブルーベリーの実になっていくのです。
露地での栽培では、さほど気にはしませんが、鉢植えの場合には特に水を欠かさぬように気をつけましょう。
品種によってもまちまち3ですが、早い品種は五月の末頃から収穫ができるようになります。
有り難いことに1本の木でも、いきなり一気に全部の実が熟すということはありません。
ブルーベリーは一粒づつ成熟していきます。
収穫期はちょうど夏の季節で、暑さとの戦いになります。
まだ涼しい早朝に摘み取りを始めるなどいくつかの工夫はあるようですが、やはり夏は暑いですね。
収穫後、生果は常温で3日、冷蔵で1週間ちょっと
ブルーベリーはそんなに日持ちのする果実ではありません。
夏の暑い温度では、持つのはせいぜい3日、冷蔵庫に入れても1週間ちょっと(もう少し)とか言われております。
収穫した直後には、とりあえず冷蔵保存をお勧めします。
送る場合にはクール便、長期保存は冷凍、あるいはジャム
ですから、生果をどこかに送る場合にはクール便でないといけません。
生果も冷凍も同様ですが、収穫したら一応水洗いをしておくのが良いでしょう。
小さな枯れ葉っぱとか、クモの巣とか、虫とかが、たまに混ざっている場合もあります。
よく水を切って冷凍すれば、解凍した際にとても使いやすく便利です。
まとめてジャムにしてしまうと言うのも、とても良い保存法です。
グラニュー糖とレモンがあれば、とても美味しくて綺麗なジャムに変わります。これは冷凍したブルーベリーでも十分に可能です。
ブルーベリージャムの作り方
ブルーベリージャムの作り方を以下に示します。基本的なレシピと手順をまとめました。
● 材料
〇ブルーベリー: 200g(生または冷凍)
〇グラニュー糖(砂糖でも可): 100g(ブルーベリーの50%程度)
〇レモン汁: 大さじ1
● 作り方
1. 材料を準備する
鍋にブルーベリーと砂糖を入れ、混ぜ合わせます。ふんわりとラップをし、水分が出るまで約1時間置きます。
2. 加熱する
ラップを外し、中火で混ぜながら加熱します。沸騰したら弱火にし、アクを取り除きつつ、20〜30分煮詰めます。好みのとろみ加減になるまで煮続けます。
3. 仕上げ
とろみがついたら、火からおろし、レモン汁を加えて混ぜます。その後、粗熱を取ったら煮沸消毒した瓶に詰めます。
・ ポイント
〇砂糖の量: 砂糖はブルーベリーの50%が基本ですが、甘さ控えめにしたい場合は30%程度に調整できます。
〇保存方法: 煮沸消毒した瓶に入れ、冷蔵庫で保存します。開封後は早めに使い切ることをおすすめします。
このレシピで作ったブルーベリージャムは、パンやヨーグルトに添えると美味しく楽しめます。
ところで、このブルーベリーの実の表面を薄く被う白い粉は何でしょう?
これは「ブルーム」と呼ばれるもので、雨や朝露などの水分をはじいて、果実の病気を防いだり、果実から水分が蒸発するのを防ぎ、新鮮さを保つ働きがあります。
ブルーベリーの秋の紅葉
秋のブルーベリーの木のあの美しい紅葉は、あのアントシアニンの赤さだと言われています。
冬の剪定は、夏のために(十一月〜二月)
収穫期が過ぎ、秋になり、寒くなって葉が落ち切った頃からが剪定の時期になります。
木枯らしが吹き荒れるなかで剪定する作業は、なかなかに辛いものがありますが、これも夏の収穫のためです。
夏に枝を広げて、葉によく陽が当たるように工夫して剪定する
そうは言っても、これがなかなか難しいところです。
葉っぱが落ちて、樹形があらわになったブルーベリーの樹は全体が見やすく、剪定には最適な季節です。
枝が伸びて、また葉が出たときに、日の光を遮らないような形に仕上げるのです。
剪定バサミで思い切ってカットしていきましょう。太い枝はノコギリを使います。
剪定は実を大きくするための作業
当然ですが、この剪定作業は、余計な花芽をたくさん残して、栄養の取り合いとなり、貧しい小さな実だけがなると言うのを防ぐためです。
剪定を終えたブルーベリーは、厳しい冬の寒さに耐えながら、じっと春を待つのです。
この冬の寒さが、じつは春の成長の力を蓄える必須の要件でもあります。
蘖(ひこばえ)の扱い
ひこばえは、親木のちょっと離れた所から、にょきにょきと勢いよく伸びてくる若い枝です。
通路と何かにも伸びてくるので、果樹園全体の形を乱すばかりか、当然栄養を吸い取ってしまうのです。
ということから原則として余計なひこばえは切るべきですが、親木の樹勢が衰えている場合には、むしろ親木を廃してヒコバエを伸ばす工夫をすることも必要です。
終わりに
今回の「ブルーベリーの育て方」では、そのポイントを簡潔に解説するように努めましたが、まだ深く詳細に語りきれないお話しもございます。
- 病害虫対策
- ブルーベリーの品種選定
- ブルーベリーの加工の仕方
- 鳥害対策
- 剪定の詳細
- 継ぎ木と挿し木
これらは追々解説していきます。
それではまた。
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