雇用保険を利用する機会は、そう多くは無いと思いますが、この制度の最新情報を調べてみました。今回は会社都合による退職にフォーカスしました。
会社都合による退職者の雇用保険(失業保険)については、以下の重要なポイントがあります。
- 受給資格と条件
- 会社都合退職と認められるケース
- 自己都合退職との違い
- 手続きと注意点
- 会社都合退職の場合、失業保険の受給期間はどれくらい
- 受給期間の概要
- 年齢と雇用保険加入期間による受給日数
- 受給条件
- 自己都合退職との違い
- 会社都合退職の場合、受給金の額はどれくらい
- 給付金額の計算方法
- 給付金額の目安
- 自己都合退職との差額
- 受給期間の影響
- 注意点
- 受給中のアルバイトについて
- アルバイト可能な期間
- 給付期間中のアルバイトの注意点
- 給付金への影響
- 注意事項
- 失業認定はどう行われるか
- 失業認定の申請に必要な書類は
- 失業認定申告書の書き方のポイントは
- 失業認定申告書の欄1から欄6の具体的な書き方は
- 欄1: 賃金の発生する労働の有無
- 欄2: 内職・手伝いの賃金・日数
- 欄3: 求職活動について
- 欄4: 仕事紹介について
- 欄5: 今後の就職予定の有無
- 欄6: 署名
- 欄3「求職活動について」を書く際のポイントは
- 以上のまとめ
受給資格と条件
会社都合退職の場合、雇用保険の受給において「特定受給資格者」として扱われます。これは以下の条件を満たす必要があります。
会社都合退職と認められるケース
以下のような場合が会社都合退職として認められます。
- 会社の破産による離職
- 経営不振を理由とした人員削減による解雇
- 「希望退職制度」への応募による退職
- 雇用契約の更新希望が認められなかった場合(雇い止め)
- 会社からの退職勧奨に応じた退職(ただし、離職届や退職届を提出していない場合)
自己都合退職との違い
会社都合退職は自己都合退職と比較して、以下の点で有利です。
- 失業保険の給付条件や給付金額が優遇される
- 給付制限期間がない(自己都合退職の場合は2カ月間の給付制限あり)
- 退職金が全額受け取れる可能性が高い(自己都合退職では減額されることがある)
手続きと注意点
- ハローワークでの手続き時に、会社から発行された離職票を提出する必要があります。
- 会社が不当に自己都合退職として扱った場合、会社都合退職であることの証拠をハローワークに提出することで、判断が変更される可能性があります。
- 会社都合退職の判断は最終的にハローワークが行います。
会社都合退職は、失業保険の受給において有利な条件となるため、該当する場合は適切に手続きを行うことが重要です。
会社都合退職の場合、失業保険の受給期間はどれくらい
会社都合退職の場合、失業保険の受給期間は以下のように設定されています。
受給期間の概要
会社都合退職の場合、失業保険の受給期間は最短で90日(約3カ月)、最長で330日(約11カ月)となります。具体的な期間は、退職者の年齢と雇用保険に加入していた期間によって決定されます。
年齢と雇用保険加入期間による受給日数
受給日数は以下のように分類されます。
年齢 | 1年未満 | 1年~5年未満 | 5年~10年未満 | 10年~20年未満 | 20年以上 |
30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | – |
30歳~35歳未満 | 90日 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 |
35歳~45歳未満 | 90日 | 150日 | 180日 | 240日 | 270日 |
45歳~60歳未満 | 90日 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 |
60歳~65歳未満 | 90日 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
受給条件
会社都合退職で失業保険を受給するためには、以下の条件を満たす必要があります:
- 離職日以前の1年間に雇用保険に加入していた期間が通算6カ月以上あること
- 「倒産」「解雇」「退職勧奨」など、会社側の理由により労働契約解約の申し出を受けて退職したこと
自己都合退職との違い
会社都合退職は自己都合退職と比較して、以下の点で有利です。
- 給付制限期間がない(自己都合退職の場合は2~3ヶ月間の給付制限あり)
- 受給開始までの待機期間が短い(会社都合退職は7日間、自己都合退職は約3ヶ月)
- 全体的に給付日数が長く設定されている
会社都合退職の場合、失業保険の受給において優遇されるため、適切に手続きを行うことが重要です。離職理由の判断は最終的にハローワークが行うので、不明な点がある場合は相談することをお勧めします。
会社都合退職の場合、受給金の額はどれくらい
会社都合退職の場合の失業保険(失業給付金)の受給額について、以下のように説明できます。
給付金額の計算方法
失業給付金の額は、退職前の賃金を基に計算されます。具体的には以下の通りです。
- 基本手当日額。退職前6ヶ月の平均賃金の約50~80%
- 1日あたりの上限額。6,850円(2024年8月現在)
給付金額の目安
会社都合退職の場合、自己都合退職と比較して給付金額が高くなります。具体的な金額は以下のように推定されます。
- 月給20万円の場合。約10~16万円/月
- 月給30万円の場合。約15~24万円/月
- 月給40万円の場合。約20~32万円/月
ただし、これらは概算であり、実際の給付額は個人の状況によって異なります。
自己都合退職との差額
会社都合退職と自己都合退職では、給付金額に大きな差が生じる可能性があります。最大で約150万円の差になることもあります。
受給期間の影響
給付金の総額は、受給期間によっても変わります。会社都合退職の場合、受給期間は最短で90日(約3ヶ月)、最長で330日(約11ヶ月)となります。
注意点
- 給付金額は、退職前の賃金や年齢、雇用保険の加入期間などによって個人差があります。
- 実際の受給額は、ハローワークでの手続き時に正確に計算されます。
- 受給中に一定以上の収入がある場合、給付金額が減額または停止されることがあります。
会社都合退職の場合、失業保険の受給において優遇されるため、一般的に自己都合退職よりも高額の給付金を受け取ることができます。ただし、具体的な金額については個々の状況に応じて異なるため、詳細はハローワークに確認することをお勧めします。
受給中のアルバイトについて
失業保険受給中のアルバイトについて、以下の重要なポイントがあります。
アルバイト可能な期間
- 求職申し込み前: 自由にアルバイト可能
- 待機期間(7日間): アルバイト不可
- 給付期間中: アルバイト可能だが条件あり
給付期間中のアルバイトの注意点
- 労働時間や収入によって給付金が減額または先送りされる可能性がある
- 週20時間以上または1カ月以上の長期雇用は再就職とみなされ、給付が打ち切られる可能性がある
- アルバイトをした場合は必ず失業認定日に申告する必要がある
給付金への影響
- 1日4時間未満のアルバイト: 「内職または手伝い」として申告
- 1日4時間以上のアルバイト: 「就職または就労」として申告
- 1日の基本手当の80%以上の収入: その日の給付金は支給されない
注意事項
- アルバイト中も継続して就職活動を行う必要がある
- 虚偽申告は不正受給とみなされ罰則の対象となる
- 具体的な基準はハローワークによって異なる場合があるため、事前に確認が必要
失業保険受給中のアルバイトは可能ですが、収入や労働時間に注意し、必ず申告することが重要です。また、アルバイトをしながらも積極的に就職活動を続けることが求められます。
失業認定はどう行われるか
失業認定は以下のように行われます。
- 失業認定日の設定
- 原則として4週間に1回、ハローワークが指定した失業認定日に行われます。
- ハローワークへの来所
- 指定された失業認定日にハローワークに来所する必要があります。
- 失業認定申告書の提出
- 「失業認定申告書」に求職活動の状況等を記入し、提出します。
- 「雇用保険受給資格者証」も一緒に提出します。
- 求職活動実績の確認
- 原則として月2回以上の求職活動実績が必要です。
- 求人応募や面接、職業相談などが求職活動として認められます。
- 就労状況の確認
- アルバイトなどの就労があった場合は、その内容を正確に申告する必要があります。
- 失業の認定
- 提出された書類と申告内容を基に、ハローワークが失業状態にあることを確認します。
- 給付金の支給
- 失業の認定がなされると、通常5営業日後に指定口座に給付金が振り込まれます。
失業認定を受けるためには、継続して求職活動を行い、すぐに就職できる状態にあることが重要です。虚偽申告は不正受給とみなされ、罰則の対象となるため注意が必要です。
失業認定の申請に必要な書類は
失業認定の申請に必要な主な書類は以下の通りです。
- 失業認定申告書
- 4週間ごとの失業認定日に提出する必要があります。
- 求職活動の状況や就労状況などを記入します。
- 雇用保険受給資格者証
- 失業認定申告書と一緒に提出します。
- ハローワークで求職申し込みをした際に交付されます。
- 求職活動実績を証明する書類
- 求人応募の履歴書の控えや面接証明書など
- 職業相談や就職セミナー参加の証明書
- 本人確認書類
- 運転免許証や健康保険証など
- 銀行口座の通帳またはキャッシュカード
- 給付金振込先の口座情報確認用
- 就労状況を証明する書類(アルバイトなどをした場合)
- 給与明細や勤務実績表など
これらの書類を準備し、指定された失業認定日にハローワークに提出する必要があります。失業認定申告書は正確に記入し、求職活動実績は原則として月2回以上必要です。また、アルバイトなどの就労があった場合は、その内容を正確に申告することが重要です。
不明な点がある場合は、事前にハローワークに確認することをお勧めします。適切な書類提出と申告により、円滑な失業認定と給付金の受給が可能となります。
失業認定申告書の書き方のポイントは
失業認定申告書の書き方のポイントは以下の通りです。
- 正直に記入する
虚偽の申告は不正受給とみなされ、罰則の対象となります。必ず正確な情報を記入しましょう。 - 黒のボールペンか万年筆を使用する
消えない筆記具を使用し、鉛筆は避けましょう。 - 期間を正確に把握する
初回は雇用保険受給者説明会から認定日前日まで、2回目以降は前回の認定日から今回の認定日前日までが対象期間です。 - 就労状況を詳細に記入する
アルバイトなどの就労があった場合は、日付や時間、収入を正確に記入します。 - 求職活動実績を具体的に記載する
応募した求人の情報や面接日など、具体的な活動内容を記入します。 - 修正は二重線と訂正印で行う
間違えた場合は、二重線を引いて訂正印を押すか、自筆で名字を書いて訂正します。 - 署名と捺印を忘れずに
最後に日付、氏名、支給番号を記入し、捺印することを忘れないようにしましょう。 - 必要書類を添付する
求職活動の証明書類や就労状況を証明する書類がある場合は添付します。
これらのポイントに注意して記入することで、適切に失業認定申告書を作成できます。不明な点がある場合は、ハローワークに確認することをお勧めします。
失業認定申告書の欄1から欄6の具体的な書き方は
失業認定申告書の欄1から欄6の具体的な書き方は以下の通りです。
欄1: 賃金の発生する労働の有無
- アルバイトなどの就労があった場合は「ア.した」に〇をつける
- 就労がなかった場合は「イ.しなかった」に〇をつける
- 就労した場合は、カレンダー部分に就労日を記入(4時間以上は「〇」、4時間未満は「×」)
欄2: 内職・手伝いの賃金・日数
- 内職や手伝いをした場合、その日数と収入額を記入
欄3: 求職活動について
- 求職活動を行った場合は「ア.した」に〇をつける
- 具体的な求職活動内容を記入(応募した求人の情報、面接日など)
- 原則として月2回以上の求職活動実績が必要
欄4: 仕事紹介について
- 「ア.応じられる」に〇をつけるのが基本
- 特別な事情がある場合のみ「イ.応じられない」に〇をつけ、理由を選択
欄5: 今後の就職予定の有無
- 就職予定がある場合のみ記入
- 就職か自営かを選択し、詳細情報(会社名、所在地、電話番号など)を記入
欄6: 署名
- 失業認定日の日付を記入
- 氏名を署名
- 支給番号(雇用保険受給資格者証に記載)を記入
- 捺印を忘れずに
記入の際は黒のボールペンか万年筆を使用し、間違えた場合は二重線と訂正印で修正します。虚偽の申告は不正受給とみなされるため、正確な情報を記入することが重要です。不明な点がある場合は、ハローワークに確認することをお勧めします。
欄3「求職活動について」を書く際のポイントは
失業認定申告書の欄3「求職活動について」を記入する際のポイントは以下の通りです:
- 求職活動の有無を正確に記入
- 求職活動をした場合は「ア.した」に〇をつける
- 求職活動をしなかった場合は「イ.しなかった」に〇をつける
- 具体的な求職活動内容を記入
- 活動の方法、日付、利用したサービス名、活動内容を具体的に記載
- 例: 「○月○日 ハローワークで職業相談」「○月○日 転職サイトAで求人応募」
- 応募や選考に関する情報を記入
- 応募先企業名、職種、選考結果などを下側の欄に記入
- 原則として月2回以上の求職活動実績が必要
- 転職サイトや派遣会社への登録だけでは不十分
- 実際に求人に応募したり、面接を受けたりする必要がある
- パンデミック感染症等の影響で求職活動ができない場合も申告
- 応募した選考の面接は極力受ける
- 虚偽の申告は避け、正直に記入する
- 記入スペースが足りない場合は別紙を添付
- 不明な点がある場合はハローワークに確認する
これらのポイントに注意して、具体的かつ正確に求職活動の内容を記入することが重要です。求職活動の実績は失業給付を受け取るための重要な要素となるため、適切に記入することが求められます。
以上のまとめ
以上の情報をまとめると、会社都合退職の場合の失業保険について以下のポイントが挙げられます。
- 受給開始時期:
- 会社都合退職の場合、ハローワークでの手続き後、7日間の待機期間を経てすぐに支給が開始されます。
- 自己都合退職と異なり、2~3ヶ月の給付制限期間がありません。
- 受給資格:
- 離職日以前1年間に雇用保険に加入していた期間が通算6ヶ月以上あれば受給資格があります。
- 自己都合退職の場合より条件が緩和されています。
- 受給期間:
- 最短90日から最長330日まで、年齢と雇用保険加入期間によって異なります。
- 給付金額:
- 自己都合退職と比較して手厚い給付が受けられます。
- 会社都合退職と認められる条件:
- 倒産、解雇、退職勧奨など、会社側の理由により労働契約解約の申し出を受けて退職した場合。
- 希望退職制度への応募、雇い止めなども含まれます。
- 手続き:
- 離職票を受け取り次第、速やかにハローワークで申請手続きを行うことが重要です。
会社都合退職の場合、失業保険の受給において様々な面で優遇されるため、該当する場合は適切に手続きを行うことが重要です。
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