フーテン老人の昼飲みセンベロの赤羽

 

ある日突然、老人は「センベロ」という言葉にとらわれた。

何しろ老人は暇なので、すぐに言葉に捉われるのだ。

センベロなんて言う言葉は聞いたことがない。どうせ1000円でベロベロに酔っ払う飲み屋かなんかの話だろ。

知らないふりをしているが、ちゃんと老人はわかっているのだ。

こういうのを、老獪(ろうかい」とか言うんじゃないの?

でも老獪というには、老人は余りにも間抜けすぎる。

しかし老人は、そんなスマホで引いたような知識は、真の知識じゃないとか言うに決まっている。

とりあえず行ってみよう。

性急な老人に、考えている暇はないのだった。

雨の赤羽駅東口午後1時

雨の赤羽駅東口
雨の赤羽駅東口

(雨の赤羽駅前 午後一時)

赤羽駅東口に出るには、北改札口を出て、右に向かえばよろし。

すぐ左手に見えるのが「赤羽1番街の門看板」。

実に老人には60年ぶりの赤羽だ。これまたずいぶんと変わっちまった。

60年前から赤羽で飲んでいたわけではないが、小豆色の京浜東北線に乗っていたころの駅前を思い出して、老人は目頭に熱いものを感じる。(嘘)

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案の定、早く着いてしまう

友人のS君と待ち合わせ予定の午後2時には、まだ1時間早かった。

早く出て来いとS君にショートメールを送る。

相変わらず身勝手な老人だが、今さら治るものではない。

このように、ついつい早く着いてしまう老人だが、聞けば約束の5時間前に着くという老人がいるそうだから、まだまだ大した事は無い。

S君からは、返事は来ない。

でも老人は別に気にしているふうでもない。

仕方なしに駅前ブラブラ

(赤羽スズラン通りアーケード)

赤羽スズラン通りアーケードに辿り着いた。

実に立派なアーケードだ。

立派過ぎて、これは庶民感覚に欠けるのではないか。

スズラン通りとしては、大きなお世話だ。

老人は

  • 三ノ輪のジョイフルとか
  • 新小岩のルミエールとか
  • 南砂の商店街とか
  • 南千住の仲通り商店街とか
  • 中野のブロードウェイ

なんかが、アーケードだと思っているらしい。アーケードがなくとも、そう思っているらしい。

老人にはそれぞれのアーケードに、思い出があるらしい。

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赤羽教会
(カソリック赤羽教会と藤の花)

赤羽スズラン通りを戻って、外から教会を眺めた。

藤の花が綺麗だった。

美しい花がある、花の美しさというものはない、とか誰かが言った。

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赤羽1番街を歩く

(雨の赤羽1番街)
(雨の赤羽1番街)

老人は赤羽1番街を歩く。

ここの入り口看板には「赤羽1番街」とあるので、「赤羽一番街」ではなく、この表記に従う。

雨の昼過ぎ、さすがに人通りは少ない。

店の外に立って呼び込みをしているオネーチャンも、どこか寂しげだ。

老人も、物欲しげにオネーチャンを見たが、一人客は呼び込まれないのだった。

雨の赤羽1番街
(雨の赤羽1番街)
雨の赤羽1番街

それにしても、飲み屋が多いのはさすがだ。

もう開店している店、そうでない店がある。(当たり前)

赤羽1番街シルクロード

ここを右に曲がるとシルクロードだった気がする。
(ここを右に曲がるとシルクロードだった気がする。)

老人がこの一帯を事前リサーチしていて、気になった名前が「赤羽1番街シルクロード」だった。老人はぼーっとしてるようだが、したたかに事前調査をしたりもするのだ。

いったい何がシルクロードなのだろうか?

どんな深い意味が込められているのだろうか?

ここは、1番街唯一のアーケード街なのだと云う。

(赤羽1番街シルクロード)
(赤羽1番街シルクロード)

すぐにシルクロードに着いた。

見上げれば、確かに屋根がある。

そして、とても小汚い。

看板らしきものを見ると「1番街シルクロード」とある。

しつこいようだが、様々なデータを総合して判断すると、ここの一番街の表記は「1番街」が正しいらしい。

老人の学説が勝利したのだ。(あほか)

それにしても、小汚いアーケードだ。

でも、老人は小汚いアーケードが好きなのだ。

小汚いものには、真実がある。

小汚いものには、愛がある。

小汚いものには、ゴミがある。

でも「1番街シルクロード」にはゴミは無い。

寂れて見えるのは、まだシャッターが開いてない店が多いせいだ。

茨城の土浦にも同様の寂れたアーケードが二つあると聞く。

丸健水産

老人の事前リサーチで注目(一人だけだけど)されたのが、このアーケードにあるという「丸健水産」だ。

高級おでん種の立ち飲みおでん屋だそうだ。

おでんセットがあって850円、おでん五種と日本酒+ 50円で出汁割り。

日本酒を半分残しておでんの出汁で割ってもらう「出汁割り」を老人は狙っていたのだ。

普段は10時半からやってるらしいが、当日は定休日で休み。(定休日は水曜日と日曜日)

何と間抜けな事前リサーチだろうか!!

老人は大地を搔きむしって悔しがった(嘘)。

立ち飲み屋では長居しないのがマナーだと言われている

(小学校の入り口にある飲み屋)
(小学校の入り口にある飲み屋)

だから、赤羽で立ち飲みするには、ハシゴと云うことになるらしい。

まあ、赤羽に限らず、立ち飲み屋で用もないのに長居するのはいけないと云うことになっている。

もともと安い立ち飲み屋なんだから、さっと来て飲んで、さっと帰るのが仁義、これをもわかる。

これは酒屋が直接飲ませる角内にも共通するオキテであろう。

立ち飲みだけでなく、座り飲み屋にも決まりがあるらしい。

座り飲み屋も、こ赤羽では、ほぼ2時間が目安のようだ。

OK横丁
OK横丁
(早めに帰宅の途に就くどこかの知らないオジサン)
(早めに帰宅の途に就くどこかの知らないオジサン)

結局は、センベロよりも昼飲みだった

確かに赤羽の飲み屋は安い。安い飲み屋はありがたい。

しかし、結局老人にセンベロはあまり重要ではない。

老人はすぐにベロベロになるからだ。(ならないジジイもいるけれど‼️)

それよりか「昼飲み」というのが、とてつもなく有り難い。

どこでも昼のみはできる

元祖昼飲みは日本蕎麦屋。

  • イタリアン
  • 町中華
  • お好み焼き
  • ステーキ屋に焼き肉屋
  • うなぎ屋に寿司屋に・・・・・

そんなこと、お前に言われなくても分かるわさ。

そのとおり。

人間いたるところに昼飲みあり。(ジンカンイタルトコロニヒルノミアリ)

昼飲みの恩恵

世間様が働いてる時間に飲むのは、何故か心地良いというのもあるけど、帰宅の通勤ラッシュにあわずに済むからだ。

世間様が会社で働いている時間に飲み、世間様が自宅に帰る前に帰宅する。

昼飲みによる早帰りで老人の転倒を軽減し、老人泥酔者の車内でのトラブルも防止できる。

昼飲みこそが老人を安全に行動させ、安全に帰宅させる有り難い飲みのスタイル。

昼飲みバンザイ‼️

(串がしなるほどの重量感と書いてある赤羽の串焼き屋。ナイスなコピーですね)
串がしなるほどの重量感と書いてある赤羽の串焼き屋。ナイスなコピーですね

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